省エネルギー住宅を極めるなら中間気密測定は必須

省エネルギー住宅に必要不可欠な気密性能とは

家にどれだけの隙間が存在しているのか?その隙間が少なければ少ないほど気密性が高いといいます。

この隙間は、測定することができる点がいいところです。

現在、国は気密性の明確な基準表記をなくしてしまいましたが、次世代省エネルギー基準(平成11年省エネ基準)時点では

東京などの温暖地域基準が5.0以下

北海道などの寒冷地が2.0以下という基準があります。

0に近くなればなるほど気密性が高くなり、結露などの心配が少なくなります。

基準は明示されなくなりましたが、この基準を重要視しているハウスメーカーや工務店は、1邸1邸気密測定を実施しています。

新しく家を建てる時、快適で省エネな家にしたいとお考えの方は、気密性能を重要視している会社に頼むことが重要になってきます。

昔の家ならば、隙間風などで台風が来たときなど扉がガタガタと音がするのは当たり前でした。

現在の家はそこまで酷いことはありませんが、家の隙間は人の健康や家の寿命にも密接に係ってきます。

快適性能・省エネルギー性能を追求すると、気密性が鍵になってくることが分かります。

 

なぜ気密性が重要なのか?

気密性という専門的な用語になると、難しく考えてしまいがちです。

要は、どれだけ隙間があるか?ということですので、お風呂を例にとって見ましょう。

浴槽にお湯を張りますが、夏場でしたら高くても40度くらいでしょうか?

浴槽は基本断熱材でおおわれています。家でいうと床と壁が断熱材で覆われているのと同じですね。

でも浴槽だけだと、せっかく張ったお湯が ” ふた ”をしない限りどんどん冷めていきます。

この ” ふた ” をしない状態は家でいうと断熱性・気密性が悪い状態となります。

ふたをすることで、熱が奪われるのが減り湯舟の温度が下がるのを遅らせます。

家でいえば、温めたり・冷やしたりした部屋の空気を窓を開けて逃がしている状態。

窓を閉めていても家中隙間だらけであれば、どんどん空気が逃げていき、外の空気も入ってきてしまいます。

ふた にも性能があり、浴槽と同じ断熱性能を持たせればより冷めにくく、ホームセンターあたりで買ってきた1000円程度のジャバラふたであれば、冷めるスピードは速いでしょう。

また、家の中の空気を計画的に換気する必要があります。

これは、生活で出る汚れた空気を外の空気と入れ替えること。

また、住宅設備等から発する化学物質(VOC)と呼ばれる人体に影響を及ぼすものを家から出すこと。

そして、冷暖房効率が良くなり、光熱費が抑えられる、省エネルギー住宅になること。

このようなことが挙げられます。

 

気密性が上がると計画的な換気ができる

 

当時、化学物質過敏症(シックハウス症候群)などで騒がれた(ホルムアルデヒド)カビやダニが主のハウスダストが原因の一つで、空気の入れ替えがうまく行われずに社会問題化しました。

住宅建材からのホルムアルデヒドに加え、クロスや家具などからの化学物質が大量に発生し住む人を苦しませたのです。

その対策として、2時間に1回は部屋の空気を強制的に入れ替える24時間換気システムの義務化が2003年に決定したのです。

 

計画換気が必要な意味

化学物質過敏症は、現在ほとんど聞かれなくなってきました。

住宅用の建材では、基準があり F★★★★(エフ・フォースター)というホルムアルデヒドが極微量というものが主流となり、24時間換気システムの高性能化も相まってきたからです。

さらに、気密住宅と24時間換気システムは別の重要な働きをしてくれています。

 

  • 省エネルギー性
  • 空気清浄機能性

 

省エネルギーに貢献する24時間換気システム

 

現在の24時間換気システムは大きく分けて3つに分かれます。

  • 第一種換気システム(吸気排気とも強制式)
  • 第二種換気システム(吸気を強制・排気は自然)
  • 第三種換気システム(吸気は自然・排気は強制)

戸建て住宅に使われることが多いのは、第一種と第三種換気システムになります。

どの換気システムも新鮮な空気を取り込む事には変わりありません。

しかし、真冬にせっかく温めた部屋に新鮮かもしれませんが、冷たい冷え切った空気を取り込んでしまったらどうなるでしょう。

そう!

部屋はどんどん冷たくなってしまいます。

その冷たさを補う為に、エアコンなどの暖房機器を利用して温めようとエネルギーを使います。

こうならない為に、熱交換換気システムというものが存在します。

 

業界最高レベルの熱交換換気システムの交換効率は約90%!

 

熱交換効率90%とは!

例えば・・・

外気が0℃

室内が20℃

と言う場合。

新鮮な0℃の外気と室内の汚れた20℃の空気を90%回収して取り込む!

結果!

18℃の新鮮な空気を室内に取り込むことができる装置。

これが熱交換効率90%の換気システム。

 

 

世の中に販売している換気システムでは、70%や50%など、選ぶ機器により性能が変わります。

熱交換効率性能が高ければ高いほど、冷暖房効率が良くなるので、光熱費が掛かりにくい家となります。

 

24時間換気システムは家の大きな空気清浄機

 

花粉の飛び交う時期、家の中にいても花粉症の症状が治まらないという方。

高気密住宅で高効率換気システムを利用すれば症状が改善するというアンケ―トデータがあります。

気密性のアップで外からの花粉を入れず、換気システムのフィルターで除去できることで

アレルギーコップ説の話も理解ができます。(諸説ありますが)

コストに見合うなら、第一種全熱交換換気システムを選択したいものです。

 

 

一番怖いのは、どこの隙間から入ってくるのかがわからないこと

 

一般的な家の隙間は、はがき10枚分程度

小さな隙間は、目視できるようなものではありません。

次世代省エネ基準レベルの隙間(C値=5.0)温暖地域基準では、隙間を集めるとはがき10枚程度の面積となります。

そのような面積の隙間が家中いたるところにあり、

冬場は冷気が入り込み、室内の温められた空気と交わる所が結露のポイントとなります。

結露が起きる温度はどのくらい  リンク☆☆

結露が起きると、フロアや構造材は腐り・錆びの原因となり、家の老朽化を早めます。

構造材等見えないところが結露による湿気を帯びると、シロアリがおびき寄せられます。

知らない間に、シロアリ被害にあっていたという家庭は少なくありません。

むしろ、気付かないくらいの隙間ですから分からなくて当然なのです。

気密性を確保する為には中間気密測定

 

いかに隙間をなくして、高気密化したほうが良いかがわかってきました。

ではどうやってチェックしていけばいいでしょう。

 

気密測定は、中間気密測定が必要

気密測定は、建物完成後に行うとの間違った認識を持っている会社があります。

一番良いのは、気密施工が終わった段階で1回(中間気密測定)、完成した状態で1回の合計2回。

建築途中で中間気密を行なうことで、もし万が一数値が悪かった場合に手の施しようがあるのですが、完成状態で行なうとすでに手遅れとなるのです。

分かりきったことですが、完成時に気密測定を行なうメーカーはびくびくしながら測定結果を待つことになります。

もし気密が基準以下だった場合に何かしらの保証があるのでしょうか。

気密測定を実施しない会社や完成後に行う会社は、気密に関しては家づくりの重要項目に挙げていないということが見えます。

消費者は気密が良い家が欲しいのではなく、快適で家・省エネな住宅を欲しているのであって、それを思えばJIS規格で決まっている完成状態のみでなく中間気密を行なって欲しいものです。

 

省エネ住宅を求める場合、国の基準に明示されていなくても気密測定は必須の項目となります。

省エネに繋がる気密数値の目安はC値=1.0以下が好ましく、計画換気が出来るレベルでしょう。

次世代省エネルギー基準時点の気密性能

地域区分 Ⅰ地域 Ⅱ地域 Ⅲ地域 Ⅳ地域 Ⅴ地域 Ⅵ地域
気密数値 2.0 5.0
 地域 寒冷地域 温暖地域

※単位 C値=ⅽ㎡/㎡  JIS規格で定められた測定方法があります。

 

気密測定を行うメーカーは施工に自信がある

 

気密測定は、いわば施工がしっかりと出来ているかのテストともいえます。

いくら自信があっても、きっちりと数字がでるまでは【 ドキドキ 】ですね。

このようにテストをされるとなると、気密測定をしたくないメーカーも中には存在します。

 

一つだけ注意が必要なのが、吹き付け断熱材を使用した後の気密測定です。

構造施工時にいくら隙間があっても、吹き付け断熱材で隙間を隠してしまうので、必然的に気密数値が良くなります。

高気密を作り出しずらいハウスメーカーでは

「 気密が良すぎるのも問題です。 」

などと気密が出せないことを正当化することもありますので注意が必要です。

 

気密測定は、家の健康診断

 

先述しましたが、気密測定のタイミングは、JIS規格で決まっており建物完成状態で行なうと記載されています。

JIS規格とは:日本工業規格は工業標準化法に基づいた国家標準の一つ

しかし、義務化もされていないのでなかなか重要性が浸透しない一つでもあります。

 

予備知識!

平成25年の省エネルギー基準からC値(隙間数値)の表記が削られました。

その理由は、啓蒙活動により広く認知されたため。

本当にそうなのでしょうか。

平成11年の次世代省エネルギー基準では表記されていますし、住宅を快適に過ごすためにはC値は必要不可欠な数値です。

現に、平成25年基準の省エネルギー基準よりも厳しい国の推し進めるZEH住宅には、次世代省エネルギー基準の隙間相当面積が記載されています。

 

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