省エネな住宅とか、暖かい住宅ですよ!と謳うメーカーはごまんとあります。皆さん暖かいとか省エネとか基準をクリアしているとか。感覚で伝えてきます。
ほとんどイメージの世界です。
” あったかい ” や ” 基準をクリア ” とかのイメージ戦略で、消費者は洗脳され
『 暖かいんだ! 』 とか『 省エネなんだ! 』
と思い込みます。
そりゃそうですよね。基準も分からないですし、その基準が最低限のレベルのものだという事はほとんどの方がしらないのですから。
改正省エネ基準【H25】をクリアする断熱材はどのくらい?
一つの基準をあげてみましょう。
平成25年に改正された日本の省エネルギー基準があります。その基準は、東京の場合Q値=2.7というものです。Q値は断熱性能を表す数値で0に近づけば近づくほど省エネになっていく数値です。
「 この基準をクリアしています! 」
と声高々に説明する訳ですが、この2.7は最低基準の数字でこれ以上の断熱性能のある住宅を作っていきましょうという指標に過ぎないのです。
Q値2.7を0.1でも上回れば、基準をクリアと言えます。
世界的に見た場合、日本の基準は物凄く低く、省エネについての国際会議を開いた時に、日本の基準を発表すると各国から「先進国ともある日本がこの程度なのかと」失笑を買ったぐらいです。
その基準を少しだけ上回ったからといって” 省エネで暖かい家 ”とは程遠いという事になります。
話がそれましたが、基準をクリアするにはどのくらいの断熱材が必要になるのかをお伝えしましょう。
省エネ基準をクリアする断熱材施工は?
家の断熱施工範囲は床(基礎)・壁・天井(屋根)・窓(開口部)となります。
日本で一般的に一番使われている断熱材【高性能グラスウール】で見ていきましょう。
改正省エネルギー基準を上回る断熱材の種類と厚みの表
改正省エネルギー基準を達成するために最低限必要なグラスウールの厚み
- 天井に高性能グラスウール 16k→155mm
- 壁に高性能グラスウール 16k→85mm
- 床に高性能グラスウール 24k→80mm
- 窓の仕様 アルミサッシ・ペアガラス
グラスウールには性能ランクが存在します。どの性能のグラスウールを仕様としているのかで断熱性能も変わります。
グラスウールの断熱性能に大きく影響するのは密度と繊維の太さになり、密度が増えるとグラスウールの繊維が増え、より空気層が増えることにより断熱性能がアップします。
密度のほかに影響するのが繊維の太さ、細かくなればその分空気層が増え、断熱性能がアップします。
下記表の通常グラスウールと高性能グラスウールの差は繊維の太さとなります。
- 通常グラスウールの繊維の太さは平均7~8μm
- 高性能グラスウールの繊維の太さは平均4~5μm
※ μm(マイクロメートル)は1mmの1000分の1
断熱素材 | 熱伝導率kwh・㎡ | 規格 |
グラスウール 10k | 0.050 | JIS 等 |
グラスウール 16k | 0.045 | |
グラスウール 24k | 0.038 | |
グラスウール 32k | 0.036 | |
高性能グラスウール16k | 0.038 | |
高性能グラスウール24k | 0.036 | |
高性能グラスウール32k | 0.035 | |
高性能グラスウール40k | 0.034 | |
高性能グラスウール48k | 0.033 |
グラスウール断熱性能の他の特長
不燃性
ガラスを主原料としているグラスウールは燃えにくい素材としても活用されています。国土交通省の告示でも規定されているもので、火災時に燃えにくく、有毒ガスがほとんど発生しません。
吸音性
内部に空気を含むことで断熱性を有しますが、それが吸音性にも一役買っています。防音材としての活用が進んでいます。
耐久性
しっかりとした施工を施せば無機質のガラス繊維なので熱や薬品に対する耐久性があります。経年劣化はほとんどありませんが施工技術が大変難しい断熱材です。
環境性
リサイクルのガラス瓶等80%を利用して製造されています。
ある一定の断熱性能を発揮するにはグラスウールのコストパフォーマンスは優れています。
しかし現実は、グラスウールでは成し得ない断熱の領域を求められ始めています。
同じ厚みでの性能比較をすると、グラスウールでは厚みに対する限界があり、より高性能な断熱材でより薄く施工が可能なものが求められます。
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