そろそろ一軒家が欲しいなぁ
と思たとき、どんな家があるのかと、住宅展示場へ行くと思います。
その時にどんなところに注目してみますか?
実は家の中で【 窓 】と言う部材は見過ごしてしまう点の一つです。
しかし、長く快適に過ごす意味で物凄く重要なポイントになってきます。
『 窓といえばアルミサッシでしょ! 』
と思っているのは日本人だけなんです。そして危険なんです。
いままでの 窓 に対するあなたの常識を一旦捨てて、家選びをしてみるのはいかがでしょうか。
日本の戸建て住宅【 窓 】事情
日本の家の窓は昔、木で作られてきました。テレビでもおなじみの時代劇ではガラスの入った窓はほとんどお目にかかれません。
外気との仕切りにふすまや障子が使われていた時代ですから、室温も外と変わりなかったのでしょう。今考えると厳しい住環境ですね。
そんな中、明治の初めに外国からサッシが輸入されてきました。
日本のアルミサッシ第一号は戦後の昭和27年に銀行が採用したものです。
その後、昭和30年代ころからアメリカの影響を受け普及してきています。
高度成長期にもアルミサッシは普及の一途を辿り、何の疑問も無く窓はアルミサッシというすり込みが出来たのでしょう。
しかし、地球温暖化で住宅の省エネ化が進むにつれ暖冷房費(エネルギー)の削減が国の目標に掲げられました。
同時に、家の中での温度変化でヒートショックが起こり、なくなる人の数が交通事故で亡くなる人の数より多いことも注目を集め、省エネ化と健康住宅の観点からもアルミサッシの是非が問われ始めました。
鋼鉄のサッシからアルミサッシ、そして現在樹脂サッシの時代へと変貌を遂げる段階にいますが諸外国はどのようなサッシを使っているのでしょうか。またその基準はどのようになっているのでしょうか。
日本の窓基準は【 ★ 】の数で決まる
日本にはいまだ最低基準が存在しません。
古い住宅に使われているアルミサッシに単一ガラスの窓はU値が6.5W/㎡・Kというレベルです。
ストック住宅の7割強がこの窓になっています。
経済産業省が定めた窓の等級は最高レベルが U値=2.33W/㎡・K 以下と言う基準。
この基準U値は 0(ゼロ) に近づけば近づくほど高性能になります。
熱貫流率 | 等級記号 | 断熱性能 |
2.33以下 | ★★★★ | 高い |
2.33~3.49 | ★★★ | 中高 |
3.49~4.65 | ★★ | 中低 |
4.65超 | ★ | 低い |
熱貫流率 | サッシ種類 | 国のサッシ基準 |
6.51 | アルミサッシ 単層ガラス | ★☆☆☆ |
3.49 | アルミ断熱サッシ ペアガラス | ★★☆☆ |
2.91 | アルミ断熱サッシ Low-Eペアガラス | ★★★☆ |
2.33 | アルミ樹脂複合サッシ Low-Eペアガラス | ★★★★ |
1.7 | オール樹脂サッシ Low-Eペアガラス | ★★★★ |
1.5 | オール樹脂サッシ Low-Eペアガラス アルゴンガス充填 | ★★★★ |
1.23 | オール樹脂サッシ Low-Eトリプルガラス クリプトンガス充填 | ★★★★ |
現在の日本で販売されているサッシは技術革新がおき、高性能なサッシが出てきています。
主だったメーカーは
熱貫流率=0.55W/㎡・K という5層ガラス仕様がリクシルから発表されています。 |
日本で販売されている窓には等級表示が【 ★ 】の数でされています。
★が4つ付くものが 最高等級★★★★ とされていますが、世界の最低基準から比較するとかなりゆるい基準となっていることが分かります。
そのため、最高等級の窓になっているので安心ですという説明は、いまひとつ納得がいかないようにも思えます。
この基準が決められたのは、1999年、今から18年も前のことです。携帯電話がペットボトルサイズの時代です。
今から数年後の2020年には改正省エネルギー基準の適合が新築住宅において義務化される予定で進んでいます。
そうなるとアルミサッシの単一ガラスと言う日本全国の5000万件以上の住宅に普及している窓は、全くの基準外で新しく使おうなどという事はできないレベルになります。
世界の窓基準はどんなレベルなのか
ある国では、窓に結露が起きると【 瑕疵 】(かし)=欠陥 になるのです。
これは日本の最高等級の★★★★ でも瑕疵に当たる製品があります。
それだけ窓の性能に対する想いが強く、健康にも重要な影響を与えることを知っているからでしょう。
日本のマンションの多くは、北側に位置する部屋では 結露 が当たり前のように起きます。
そのためマンション販売業者は加湿器を使わないように薦めたり、引越し時に除湿器をプレゼントする業者もいるという記事を見かけたことがあります。
コンクリートで出来たマンションはセメントと水を使う為、特に建てたすぐ後では湿度が高い状態が続きます。
そこに加湿器を使うと窓が結露してしまいます。
タンスの裏がびっしりとカビで覆われていたなんて話は当たり前のようになっていますね。
諸外国の窓に対する最低基準:熱貫流率:U値
国 | 熱貫流率 | 備考 |
フィンランド | 1.0 | 各国、左記の基準より低性能なサッシは使ってはいけないという基準(最低基準)
これ以上の数値のサッシは瑕疵に当たる国もあります |
ドイツ | 1.3 | |
デンマーク | 1.5 | |
チェコ | 1.7 | |
イギリス | 1.8 | |
ハンガリー | 2.0 | |
フランス | 2.1 | |
イタリア | 2.0 | |
アメリカ | 1.7 | |
中国 | 1.6 | |
日本の最高基準(寒冷地) | 2.33 | 国の基準が遅れている |
※熱貫流率単位=W/㎡・K
まとめ
快適生活には窓の選択は最重要課題です。
家を建てる際に検討する事項。ハウスメーカーの標準仕様がどの程度のものなのか?窓の性能をあげた場合にはどのような商品が使用できるのか?どのくらいの費用がかかるのか?などを検討する必要があります。
窓のランクアップをする場合には、初期コストがかかるのは避けて通れない道ではありますが、結露に悩まされたり、それによる健康被害や電気代のアップに繋がってしまうことも念頭に入れておければ決して高くはなく、ライフタイムコスト(生涯にかかる費用)は逆に安く上がる結果になります。
現在ストックされている住宅の窓は、冬場:約5割・夏場:約7割 熱が出入りしていることを覚えておきましょう。
< 窓についての記事はこちら >
< ライフタイムコストについての記事はこちら >