低金利時代の変動金利とフラット35Sの損益分岐点

前回、変動金利とフラット35Sの比較をしてみました。

その結果5年ごとの0.2%の金利アップでは、約270万円ほど変動金利のほうが総返済額が安くなることが分かりました。

そこで、変動金利の金利がどこまで上がるとフラット35Sとの総返済額が逆転するのかを損益分岐点として調べてみることにしましょう。

変動金利と長期固定金利総額比較表

変動金利 0.625% 5年後10年後15年後20年後25年後30年後に0.2%づつ金利アップとフラット35Sの当初10年間1.26%残り期間1.56%との比較

変動金利(民間金融機関)   長期固定金利(フラット35S:住宅金融支援機構)
借入年数 金利 返済額 借入年数 金利 返済額
0.625% 66,286 1.260% 73,641
0.625% 1.260%
0.625% 1.260%
0.625% 1.260%
0.625% 1.260%
0.825% 1.260%
0.825% 1.260%
0.825% 1.260%
0.825% 1.260%
10 0.825% 66,286 10 1.260% 73,641
11 1.025% 69,900 11 1.560% 76,293
16 1.225% 71,264 1.560%
21 1.425% 72,309 35 1.560% 76,289
26 1.625% 73,023
31 1.825% 73,390
35 1.825% 73,360
利息合計 2,953,879 利息合計 6,724,816
総支払額 28,953,879 総支払額 31,724,816
変動金利総額と固定金利総額の差額は270万円以上となりました。

2017年から過去へ20年以上変動金利がほとんど変わっていないことを考えると、このような結果に終わることも十分にありえるように思います。

もしくは、最終的に1%を超えなかった。なんてことになるとフラットとの差はもっと広がることになります。

変動金利が0.2~0.5%までの変化を見てみましょう

変動金利 0.625% 5年後、10年後、15年後、20年後、25年後、30年後に0.3%づつ金利アップ 最終金利2.425%

変動金利 0.625% 5年後、10年後、15年後、20年後、25年後、30年後に0.4%づつ金利アップ 最終金利3.025%

変動金利 0.625% 5年後、10年後、15年後、20年後、25年後、30年後に0.5%づつ金利アップ 最終金利3.625%

変動金利(民間金融機関)   長期固定金利(フラット35S:住宅金融支援機構)
借入年数 金利 返済額5年ごと0.2%up 0.3%up 0.4%up 0.5%up 借入年数 金利 返済額
0.625% 66,286 66,286 66,286 66,286 1.260% 73,641
0.625% 66,286 66,286 66,286 66,286 1.260% 73,641
0.625% 66,286 66,286 66,286 66,286 1.260% 73,641
0.625% 66,286 66,286 66,286 66,286 1.260% 73,641
0.625% 66,286 66,286 66,286 66,286 1.260% 73,641
0.825% 68,235 69,224 70,221 71,227 1.260% 73,641
0.825% 66,286 69,224 70,221 71,227 1.260% 73,641
0.825% 66,286 69,224 70,221 71,227 1.260% 73,641
0.825% 66,286 69,224 70,221 71,227 1.260% 73,641
10 0.825% 66,286 69,224 70,221 71,227 10 1.260% 73,641
11 1.025% 69,900 71,755 73,642 75,561 11 1.560% 76,293
16 1.225% 71,264 73,845 76,490 79,198 1.560% 76,293
21 1.425% 72,309 75,462 78,710 82,053 35 1.560% 76,289
26 1.625% 73,023 76,573 80,245 84,043
31 1.825% 73,390 77,146 81,045 85,085
35 1.825% 73,360 77,159 81,033 85,108
利息合計 2,953,879 5,617,473 6,598,328 7,607,203 利息合計 6,724,816
総支払額 28,953,879 30,617,473 31,598,328 32,607,203 総支払額 31,724,816
 逃げ切り 逃げ切り 逃げ切り 逆転される
青字は変動金利のほうが返済額が低いことを意味します。赤字フラット35Sの返済額を越したことを意味しています。

上記の表から0.625%で始まった変動金利が5年ごとに0.4%上がる試算ですと、フラット35Sの1.26%-1.56%を利用するよりも総返済額は少なくなりますが、5年ごとの0.5%上がる試算ですと、フラット35Sのほうがお得になる計算となりました。

※金利だけで比較検討していますが、このほかに変動金利には属性による、保証料が別途必要になり、変動金利には金利に含まれる団体信用生命保険がフラット35には含まれておりません。

※フラット35では2017年10月以降、団体信用生命保険が金利に含んだ表示に切り替わります。(現時点では、任意加入)

注意したい場面は?

注意したいのが、変動金利で16年目に差し掛かったところで毎月の返済額がフラット35Sの毎月返済額を超えるようになる場面です。

金利と毎月の返済額だけを見ていると、0.4%づつ上がる試算では最終的に3.025%で81,045円とフラットを遥かに上回ります。

しかし、金利や月々の返済額がフラット金利を超えたからといっても最終的には総返済額は安く済んでいるのです。

焦って、無謀な動きをしないことが肝心です。

変動金利は返済当初の低金利を活かして、元金を大きく減らすことに貢献しています。

その為、毎月の返済額や金利がフラットよりも多くなったとしても利ざやがあるので0.4%づつの上昇では逃げ切ることが出来たという事になります。

上記表で変動金利、10年後の元金残高は、18,491,996円で

フラットでの10年後の元金残高は、18,942,519となり、変動金利が約45万円も多く返済が済んでいることが分かります。

あとがき

永遠の課題の一つ【変動金利と固定金利】

どちらが良いのか?と言う結論はもちろん出ませんが、

内容を細かく知っているのと知らないのとでは【借り換えするぞ!】となったときにも判断がつきやすくなります。

意外と、ハウスメーカーに全ておまかせしてしまっているとか、銀行の言うがままになっているなんて事になっている方を多く見かけます。

少しでも勉強して自分にあった返済方法を選びたいものです。

いかがだったでしょうか。

今回は2回に渡り、金利と返済額についてみてきました。

次回は、それ以外にかかる融資手数料や団体信用生命保険等について気になるポイントをお伝えしたいと思います。

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