ハウスメーカーの断熱性能UA値と省エネルギー基準比較!【住友林業】

住友林業は、長く木造住宅のNo.1 を維持してきましたが、数年前から一条工務店にその座を渡してしまっています。

しかし、「木の家」といえば、まだまだ「住友の家」といわれるくらいに認知度があるのも事実。国内山林事業においては、日本国土の1/800に相当する社有林を管理していることでも有名です。

そんな住友林業ですが、断熱性能に関してはどの程度のレベルで提供しているのでしょうか。見ていきましょう。

住友林業の断熱性能【UA値】

 

住友林業  断熱性能【UA値】
建築エリア 推奨仕様 提案仕様
1・2地域 0.4
3 地域 0.42
4 地域 0.43 0.42
5・6・7地域 0.46 0.45

提案仕様では、開口部となる窓の仕様が、アルミ樹脂複合サッシ → 樹脂サッシ になるようです。

住友林業の建築地域別断熱性能

住友林業は、建築地により断熱仕様を細かく変更しています。

断熱仕様は、2020年に義務化される「省エネルギー基準」に照らし合わせた地域となり、日本全国を1地域から8地域まで区分したものに準じます。

出典:住友林業 基本性能 断熱性

 

国が義務化する区分ごとの省エネ基準は、以下の表の通りです。

断熱基準 基準単位 地域区分
改正省エネ基準 UA値 0.46 0.56 0.75 0.87
ZEH基準 UA値 0.4 0.5 0.6
次世代省エネ Q値 1.6  1.9  2.4  2.7 3.7

地域区分の見方

  1. 旭川
  2. 札幌
  3. 盛岡
  4. 仙台
  5. つくば
  6. 東京
  7. 鹿児島
  8. 那覇

もし、あなたが東京都に建築をしようとお考えなのであれば、6地域となります。

省エネ基準でいう6地域の必要最低限の断熱性能(UA値)は0.87ですが、住友林業では、6地域に建築する場合、推奨UA値を0.46としています。

住友林業の断熱仕様【1・2地域仕様】

 

UA値=0.4

住友林業の1・2地域仕様は、義務化される省エネ基準よりもワンランク上のZEH基準を推奨仕様としています。

住友林業の断熱仕様【3地域仕様】

 

UA値=0.42

住友林業の3地域仕様は、義務化される省エネ基準よりもワンランク上のZEH基準を推奨仕様としています。

住友林業の断熱仕様【4地域仕様】

 

UA値=0.43~0.42

住友林業の4地域仕様は、義務化される省エネ基準よりもワンランク上のZEH基準、しかも地域区分も一つ上の厳しい基準をクリアし、提案・推奨仕様としています。

住友林業の断熱仕様【5・6・7地域仕様】

 

UA値=0.46~0.45

住友林業の5・6・7地域仕様も、ZEH基準を上回る、さらに3地域のZEH基準を提案・推奨仕様としています。

住友林業の採用している窓の仕様

住友林業:窓の基本性能

  • 1・2・3地域では樹脂サッシ+Low-E複層ガラスアルゴンガス入りを採用
  • 4・5・6地域ではアルミ樹脂複合サッシ+Low-Eガラスアルゴンガス入りを採用

上記図にもあるように、アルミ樹脂複合サッシのU値(熱貫流率)は1.2程度のサッシを採用している様子です。

住友林業ホームページでは、サッシの細かい仕様までは見つけることができませんでしたが、窓ガラスの中間層をアルゴンガスとしています。クリプトンガスを採用することで、さらに断熱性能がアップします。

クリプトンガスって、あまり聞きなれないガスですよね。一般的にはドライエアーもしくはアルゴンガスを採用しているところがほとんどです。熱伝導率をみるとより性能が高あることが分かります。

ドライエアー、アルゴンガス、クリプトンガスの熱伝導率(U値)は以下の表の通り。

ドライエアー 0.024
アルゴンガス 0.016
クリプトンガス 0.009

クリプトンガスは、ドライエアーの2.6倍、アルゴンガスの1.7倍の熱伝導率の低さ。

樹脂製スペーサー

見落としてしまいがちな点ですが、ガラスとガラスの間を支えるスペーサーがありますが、一般的に使用されているのがアルミスペーサー。

しかし、樹脂サッシ枠と同じで、熱伝導率が1/1000ですから、言うまでもない性能差になります。

アルミスペーサーは、サッシ枠あたりに結露が発生する原因を作ってしまいます。これを防ぎたい場合は、樹脂スペーサーを採用している窓をおすすめします。

アルミと樹脂の熱貫流率を比較すると、ほんの少しだけの差となりますが、目に見える結露という現象で違いが現れます。

下記画像は、YKK APニュースリリースからお借りしています。樹脂スペーサーとは、ガラスとガラスの間の部分にある緩衝剤のようなものです。ガラスとガラスに一定の空間を設けることで、断熱効果を発揮します。

右側の温度変化では3℃の違いが出ていますが、アルミスペーサーの方は中間層がドライエアー、樹脂スペーサーの方はアルゴンガスが使用されている場合のものらしいです。

 

「省エネルギー基準」と「ZEH基準」については、下記に記載しました。

省エネ基準を上回る住友林業のZEH(ゼッチ)は標準性能

ZEHとは!?

ZEHとは「快適な室内環境」と、「年間で消費する住宅のエネルギー量が正味で概ねゼロ以下」を同時に実現する住宅のこと。

参考資料:ZEH ロードマップ News Release

国は、2030年までに新築の平均でZEH住宅を普及させる目標を掲げています。

 

下記画像は住友林業がどのくらいZEH住宅の普及に力を入れているかが分かる表です。これを提供しているのは、一般社団法人 環境共創イニシアチブ、通称Sii(シー)

【データの見方】

2016・2017は目標と実績、2018年以降は目標数値

  • 登録種別  A = 北海道
  • 登録種別  B = その他都府県

上記画像が小さく見えずらい場合は、こちらからSiiのページが開きます

内容をみると、2016年、2017年に掲げた目標と実績数値、そしてそれ以降の目標数値が掲げられています。

北海道、その他地域で目標値に達していない結果となっていますが、2020年の目標値は80%と大手ハウスメーカーが軒並み50%台を目標にしているのに対して強気の数字になっています。

とはいえ、2017年の実績で、積水ハウス76%、一条工務店72%に比べると半分以下というのは少し寂しい気がします。

住友林業ニュースリリース 2016年8月9日 ZEH「Green Smart (グリーンスマート)」によると、ZEH仕様の場合、上記で紹介した樹脂サッシではなく、トリプルガラス仕様を設定している様子です。

住友林業の断熱性能Q値:次世代省エネルギー基準

義務化前の基準「次世代省エネルギー基準」の断熱性能Q値を参考に掲載します。

  • 標準仕様 Q値 = 1.92

この次世代省エネルギー基準時代のQ値は、家自体の性能を表しているものなので、UA値で関係してくる日射量や省エネ設備を除いた純粋な家の断熱性能です。

今でも十分に断熱性能を語る上では通用する基準ではないでしょうか。

下記にて、「次世代省エネルギー基準」を義務化基準となる「改正省エネルギー基準」と「ZEH住宅基準」と並べ分かりやすく表にしました。

義務化省エネルギー基準とZEH基準

ハウスメーカーが提示する、断熱性能UA値がどのような基準で成り立っているのかを知らないと、そのハウスメーカーが優れた性能を装備しているのかどうかが分かりません。

テレビCMやブランドイメージに感化されてしまうと、客観的な数字を見れなくなってしまいます。

そのため、2020年に義務化される「省エネルギー基準」と国が推奨している基準「ZEH基準」また、参考に基準単位がQ値時代の「次世代省エネルギー基準」を紹介します。

断熱基準 基準単位 地域区分
改正省エネ基準 UA値 0.46 0.56 0.75 0.87
ZEH基準 UA値 0.4 0.5 0.6
次世代省エネ Q値 1.6  1.9  2.4  2.7 3.7

地域区分の見方

  1. 旭川
  2. 札幌
  3. 盛岡
  4. 仙台
  5. つくば
  6. 東京
  7. 鹿児島
  8. 那覇

住友林業の断熱性能(UA値)まとめ

住友林業  断熱性能【UA値】
建築エリア 推奨仕様 提案仕様
1・2地域 0.4
3 地域 0.42
4 地域 0.43 0.42※
5・6・7地域 0.46 0.45※

住友林業の基本性能で、省エネ基準はもちろん、ZEH基準をも上回る性能を出しているにも関わらず、ZEH実績が少ないところをみると推奨仕様であるために、カタログ数値が出ない住宅を提供しているように思います。

住友林業で断熱性能にこだわりを持つようであれば、UA値を高くする設計を依頼する、もしくはZEH申請をすることが良いように思います。

>>住友林業の資料を取り寄せる!

 COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

日本の省エネ基準!今までとこれから!義務化に必要な断熱仕様!

2020年に義務化される改正省エネ基準【H25】をクリアする断熱材の厚みは!?

ハウスメーカーの断熱性能UA値と省エネルギー基準比較!【ミサワホーム編】

ハウスメーカーの断熱性能UA値と省エネルギー基準比較!【パナソニックホームズ編】

ハウスメーカーの断熱性能UA値と省エネルギー基準比較!【三井ホーム編】

ハウスメーカーの倒産・合併が来る時代!その後の住宅事情は省エネ化