三井ホームはツーバイフォーの先駆けのハウスメーカーですね。その三井ホームも、他ハウスメーカーが先にツーバイシックスを手掛けるようになり、ツーバイといえば三井ホームとも言えなくなってきました。
その三井ホームも断熱性能や耐震性能をあげるためにツーバイシックスを出しています。
これは単純に、使用する木材の厚みが断熱材の厚みに反映されるため、ツーバイフォーの89mmよりもツーバイシックスの140mmの方が圧倒的に高断熱になるし、耐震性もグッと上がるからです。
それが「プレミアムモノコック構法」
では、三井ホームの断熱性能UA値はどのくらいのものになったのかを見ていきましょう。
他社の断熱性能ランキングは・・・
三井ホームの断熱性能【UA値】
▶モバイルでの画像は、左スライドで全体がご覧いただけます
三井ホーム |
断熱性能【UA値】 |
0.43(プレミアムモノコック) |
冒頭ではなしたプレミアムモノコックを三井ホームの公式ホームページ高断熱・高遮熱ページを覗いていくと、断熱性能を表すUA値が0.43との表記があります。
この断熱性能は、プレミアムモノコックといういわゆる「ツーバイシックス」工法を取り入れた仕様のものです。
三井ホームの屋根断熱仕様
他社と少し違うのが、屋根の断熱を推しているところ。
▶モバイルでの画像は、左スライドで全体がご覧いただけます
一般的には、天井裏に断熱施工を施し、室内への熱の出入りを防ぐのですが、三井ホームでは、屋根そのもののパネルに断熱材(ビーズ法ポリスチレンフォーム)を80mm、挟みこみ独自パネル化して施しています。
これにより、天井裏断熱で起こるといわれる、熱を阻止しているといっています。しかし気になるところは、グラスウールやロックウールよりも断熱性能は高いビーズ法ポリスチレンフォームを採用しているのですが、厚みが80mmとやや心もとない厚みとなっている点です。
三井ホームだけ、一般的な天井裏断熱と違うことから、断熱性能=UA値が三井ホームと近い、そして工法がツーバイシックスを取り入れているハウスメーカーが、何をどのくらい採用しているのかを見てましょう。
比較するのは三井ホームを含めた下記表の4社
▶モバイルでは左スライドで全表示します
ハウスメーカー | 工法 | Q値 | UA値 | |
1 | ウィザースホーム(新昭和) | 2×6 | 1.34 | 0.39 |
2 | ミサワホーム(120mm仕様) | 2×6 | 1.37 | 0.43 |
3 | 三井ホーム(プレミアムモノコック) | 2×6 | 1.42 | 0.43 |
4 | セキスイハイム グランツーユー | 2×6 | 1.6以下 | 0.46 |
天井裏・屋根断熱の断熱材厚み比較
ハウスメーカー | 施工場所 | 断熱材 | 厚み | |
1 | ウィザースホーム | 天井裏 | ブローイング | 300mm |
2 | ミサワホーム(120mm仕様) | 天井裏 | ロックウール | 200mm |
3 | 三井ホーム(プレミアムモノコック) | 屋根 | ビーズ法ポリスチレンフォーム | 80mm |
4 | セキスイハイム グランツーユー | 天井裏 | グラスウール | 140mm |
各社差別化をはかるためでしょうか、それぞれ被るものが無く比較がしにくくなっています。
ブローイング工法については、採用している断熱材が何になるのか?によって熱伝導率が変わってきますので、厚みがあったからといって一概にいいとは言えない部分があります。
三井ホームの屋根断熱は、やはり少し厚みが無いように感じますね。年々暑くなっている日本の夏を快適に過ごせるか少し不安です。
特にロフト設計を得意としていますが、暑さが気になるところです。
屋根断熱を施した一条工務店のセゾンタイプのロフト部ですが、三井ホームと同じビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)を235mm使用しています。それですら、夏場の熱を感じずにはいられませんでした。
三井ホーム壁の断熱仕様
壁の断熱材はどのようになっているのか見ていきましょう。
壁の断熱材はツーバイシックスのメリットを活かして、ロックウールで140mmの厚みを持たせています。
ツーバイシックス工法のハウスメーカーはおそらく同じかと思いますが、内壁となる石膏ボードが直に貼られている場合は、コンセントやスイッチ配線を通すための部分は140mmとならないことがほとんどです。
そこを
- 計画的に行っているのか?
- 配線に携わる電気業者にまかせっきりになっているのか?
によって、断熱欠損の良し悪しが生じますので注意が必要です。
三井ホーム床下の断熱仕様
床下の断熱に関しては、80mmのビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)を使用しています。
この厚みも、ツーバイフォー材を使用しているのならば、89mmまで対応が出来るとさらに断熱性能が上がるでしょう。より高性能な断熱材を使用することができればなおさらですね。
三井ホーム窓の性能仕様
アルミ樹脂複合サッシ採用
三井ホームが採用している窓は、アルミ樹脂の複合サッシになります。
樹脂オンリーのサッシに比べると性能は落ちてきますが、UA値0.4レベルの家づくりには多く採用されているものです。
ペアガラスの中間層には、アルゴンガスが採用されているので、空気層より断熱性能にすぐれます。
空気層(ドライエアー)とアルゴンガスそして、クリプトンガスの熱伝導率は…
中間層に入るもの | 熱伝導率 |
ドライエアー | 0.024 |
アルゴンガス | 0.016 |
クリプトンガス | 0.009 |
より数値が小さくなるほど、熱の伝えにくさが高まります。断熱素材と同じ見方です。
より、高断熱化(暖かい・涼しい)の家を目指す場合は、アルミ樹脂複合サッシではなく、オール樹脂サッシで、トリプルガラスのクリプトンガス充填タイプを採用すると、冬場の冷えや夏場の熱さを伝えにくくするでしょう。
樹脂サッシの断熱性能ランキングと世界の窓基準では高性能な窓のランキングをしています。
「省エネルギー基準」と「ZEH基準」については、下記に記載しました。
参考:三井ホーム公式ページ家づくりの技術>断熱性
省エネ基準を上回る三井ホームのZEH(ゼッチ)
ZEHとは!?
ZEHとは「快適な室内環境」と、「年間で消費する住宅のエネルギー量が正味で概ねゼロ以下」を同時に実現する住宅のこと。
国は、2030年までに新築の平均でZEH住宅を普及させる目標を掲げています。
下記画像は三井ホームがどのくらいZEH住宅の普及に力を入れているかが分かる表です。これを提供しているのは、一般社団法人 環境共創イニシアチブ、通称Sii(シー)。
【データの見方】
2016・2017は目標と実績、2018年以降は目標数値
- 登録種別 A = 北海道
- 登録種別 B = その他都府県
上記画像が小さく見えずらい場合は、こちらからSiiのページが開きます。
内容をみると、2016年、2017年に掲げた目標と実績数値、そしてそれ以降の目標数値が掲げられているのが分かります。
登録種別Aの北海道では、2017年の実績が0%で未達成。プレミアムモノコック仕様でも北海道の省エネ基準を少しだけ上回るのですが、道民からすると普通以下なのかもしれません。
登録種別Bの北海道以外の都府県でも、三井ホームが提供しているZEH住宅実績は全体の10%とあまり誇れる数値ではないのが分かります。
これは、大手メーカーの中でもかなり低いシェアです。
この理由は正確には分かりませんが、顧客の要望を反映する、オーダーメイド住宅が良くも悪くも関係しているのか?他社の高断熱住宅へ流れているのか?
ブランド面での価値は、すごく高い三井ホーム。断熱性能面ではかなり検討しているように見えますが、さらに性能を上げることができれば販路が増えそうです。
三井ホームの断熱性能Q値:次世代省エネルギー基準
義務化前の基準「次世代省エネルギー基準」の断熱性能Q値を参考に掲載します。
- 標準仕様 Q値 = 1.42
この次世代省エネルギー基準時代のQ値は、家自体の性能を表しているものなので、UA値で関係してくる日射量や省エネ設備を除いた純粋な家の断熱性能です。
今でも十分に断熱性能を語る上では通用する基準ではないでしょうか。
下記にて、「次世代省エネルギー基準」を義務化基準となる「改正省エネルギー基準」と「ZEH住宅基準」と並べ分かりやすく表にしました。
義務化省エネルギー基準とZEH基準
ハウスメーカーが提示する、断熱性能UA値がどのような基準で成り立っているのかを知らないと、そのハウスメーカーが優れた性能を装備しているのかどうかが分かりません。
テレビCMやブランドイメージに感化されてしまうと、客観的な数字を見れなくなってしまいます。
そのため、2020年に義務化される「省エネルギー基準」と国が推奨している基準「ZEH基準」また、参考に基準単位がQ値時代の「次世代省エネルギー基準」を紹介します。
断熱基準 | 基準単位 | 地域区分 | |||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | ||
改正省エネ基準 | UA値 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | ー | |||
ZEH基準 | UA値 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | |||||
次世代省エネ | Q値 | 1.6 | 1.9 | 2.4 | 2.7 | 3.7 |
地域区分の見方
- 旭川
- 札幌
- 盛岡
- 仙台
- つくば
- 東京
- 鹿児島
- 那覇
三井ホームの断熱性能(UA値)まとめ
三井ホーム |
プレミアムモノコック仕様 UA値:0.43 |
三井ホームはZEH住宅基準に対応した住宅を提供しています。
ただ商品タイプにより、省エネ基準住宅となる場合があります。