ハウスメーカーの断熱性能UA値と省エネルギー基準比較!【桧家住宅編】

桧家住宅は、2018年3月に東証1部上場をした「ヒノキヤグループ」の一つで、主に木造住宅の販売に力を入れています。グループの中には、「レスコハウス」という鉄筋コンクリ―ト住宅も展開しています。

そんなヒノキヤグループの一つ、桧家住宅は「高気密・高断熱住宅」を売りにして活動していますが、その性能のわりに低価格で求めることができるため、最近人気を博しています。

その低価格の裏には、高断熱に欠かせない、断熱材(アクアフォーム)をつくる株式会社日本アクアをヒノキヤグループ傘下に収めていることもうまく作用している様子です。

まだまだ大手には届きませんが、躍進を続けている桧家住宅の断熱性能はどの程度なのかを見ていきましょう。

桧家住宅の断熱性能【UA値】

桧家住宅
 断熱性能【UA値】
 未公表(ブログ公開数値0.7)

桧家住宅が使用する断熱材・仕様

桧家住宅が使用している断熱材は、「アクアフォーム」という日本アクアという断熱材を製造している会社の製品を採用しています。2009年にヒノキヤグループの傘下に入ったことから、桧家住宅の断熱材として使われているということですね。

しかし、桧家住宅の公式ホームページを見ても断熱性能UA値が記載されていません。

このところも含めて、断熱仕様を確認していきます。


上記のように、桧家住宅の断熱材は「アクアフォーム」もしくは、高性能アクアフォームの「アクアフォームNEO」を採用しています。

現場発泡の性質上、吹付けする職人の腕でよくも悪くもなるのが難点の一つですが、日本アクアの専任担当が吹付けをするのでばらつきが少ないというメリットを訴えています。

また、吹き付けの厚みをコントロールすることで、より高断熱な仕様へと変えることができる様子です。

アクアフォームの断熱性能は?

アクアフォームの断熱性能を表す「熱伝導率」はどの程度なのでしょうか?

ヒノキヤグループ傘下の株式会社日本アクアのホームページに詳細なデータが紹介されていました。

試験方法は、JIS規格(日本工業規格)に沿った方法ですので、しっかりとしたデータです。

屋根や壁に使われる「アクアフォーム」の熱伝導率は0.036

 

基礎断熱に使われる「アクアフォームNEO」の熱伝導率は0.026以下

 

他ハウスメーカーで良く採用されている断熱材の熱伝導率を紹介してみると、アクアフォームが特段優れているというわけでもなさそうです。

ただ、悪くもないのでモデルホーム(実験棟)での断熱性能UA値を公表してもよさそうなものですね。

断熱材 熱貫流率 参考文献
高性能グラスウール16k 0.038 JIS A 9521 文献
高性能グラスウール24k 0.036
硬質ウレタンフォーム 0.020

桧家住宅の気密性能【C値】

桧家住宅では、アクアフォームという現場施工の断熱材を吹き付けることが、隙間を埋めることになることから、高気密住宅になるとしています。

たしかに、吹き付け発泡ウレタンになるので、まんべんなく吹き付けることで気密性は上がりそうです。しかし、構造の建て方で腕が悪く不均一な施工をしたとしても、吹き付け断熱施工でカバーしてしまうというデメリットも見えます。

アクアフォームを提供している株式会社日本アクアのホームページには、気密性能に関してもデータが存在しました。そのデータがこちら。

現在の省エネ基準では、気密性の基準の明記がされなくなりましたが、計画換気をするうえでは、気密性能は必須事項です。

これは、いくら高性能な換気システムを採用したとしても、隙間だらけな家では意味がないからです。

こういった意味で、換気システムが効率良く作動するには、気密性能【C値】は1.0以下というのが目安となります。

桧家住宅では、気密性能【C値】を、カタログ上0.7と謳ってきましたが、子会社である日本アクアのデータで、かけ離れた数値を公表しているのは、公式ホームページで謳わない理由になるのかもしれません。

桧家住宅のスマートワンで建てた、「プログラマから教員へ転職した人のブログ」では、UA値を計算してもらい0.7となり、実測気密性能【C値】は1.0だったという報告をされています。

桧家住宅の採用している窓は?

標準として提供しているサッシは、アルミ樹脂の複合サッシ

ペアガラスの間は、ドライエアータイプを採用。

遮熱には片側Low-Eガラス

一般的なハウスメーカーの標準仕様と変わりない内容です。

低価格で販売していることもあるので、この内容で悪くはありませんが、建築を計画する場合は、アルゴンガス充填タイプをおすすめします。

窓サッシの断熱性能を上げる方法

ペアガラスやトリプルガラスの間に中間層がありますが、一般的にはドライエアーもしくはアルゴンガスを採用しているところがほとんどです。

しかし、断熱性能をさらにあげようと思うと、クリプトンガスを採用するのがベターです。

ドライエアー、アルゴンガス、クリプトンガスの熱伝導率(U値)は以下の表の通り。

ドライエアー 0.024
アルゴンガス 0.016
クリプトンガス 0.009

クリプトンガスは、ドライエアーの2.6倍、アルゴンガスの1.7倍の熱伝導率の低さ。

できればサッシ枠には、樹脂を採用すると快適な空間を得ることができます。

 

「省エネルギー基準」と「ZEH基準」については、下記に記載しました。

省エネ基準を上回る桧家住宅のZEH(ゼッチ)は標準性能

ZEHとは!?

ZEHとは「快適な室内環境」と、「年間で消費する住宅のエネルギー量が正味で概ねゼロ以下」を同時に実現する住宅のこと。

参考資料:ZEH ロードマップ News Release

国は、2030年までに新築の平均でZEH住宅を普及させる目標を掲げています。

 

下記画像は一条工務店がどのくらいZEH住宅の普及に力を入れているかが分かる表です。これを提供しているのは、一般社団法人 環境共創イニシアチブ、通称Sii(シー)

【データの見方】

2016・2017は目標と実績、2018年以降は目標数値

  • 登録種別  A = 北海道
  • 登録種別  B = その他都府県

上記画像が小さく見えずらい場合は、こちらからSiiのページが開きます

桧家住宅の展開エリアが北は東北(岩手・秋田)までとなっているので登録種別Aはありません。

北海道以外のエリアBで実績をみると、2016年は1%。2017年では0%と、ヒノキヤグループ代表の思い(ヒノキヤグループ社長のブログ)と逆の実績となってしまっています。

最近になって、勢力を拡大してきているので社長の思いが現場に行き届いていないことがうかがえます。

伸びている会社なので、これからを期待したいですね。

桧家住宅の断熱性能Q値:次世代省エネルギー基準

義務化前の基準「次世代省エネルギー基準」の断熱性能Q値を参考に掲載します。

  • 標準仕様 Q値 = 1.9(カタログ値)

この次世代省エネルギー基準時代のQ値は、家自体の性能を表しているものなので、UA値で関係してくる日射量や省エネ設備を除いた純粋な家の断熱性能です。

今でも十分に断熱性能を語る上では通用する基準ではないでしょうか。

下記にて、「次世代省エネルギー基準」を義務化基準となる「改正省エネルギー基準」と「ZEH住宅基準」と並べ分かりやすく表にしました。

義務化省エネルギー基準とZEH基準

ハウスメーカーが提示する、断熱性能UA値がどのような基準で成り立っているのかを知らないと、そのハウスメーカーが優れた性能を装備しているのかどうかが分かりません。

テレビCMやブランドイメージに感化されてしまうと、客観的な数字を見れなくなってしまいます。

そのため、2020年に義務化される「省エネルギー基準」と国が推奨している基準「ZEH基準」また、参考に基準単位がQ値時代の「次世代省エネルギー基準」を紹介します。

断熱基準 基準単位 地域区分
改正省エネ基準 UA値 0.46 0.56 0.75 0.87
ZEH基準 UA値 0.4 0.5 0.6
次世代省エネ Q値 1.6  1.9  2.4  2.7 3.7

地域区分の見方

  1. 旭川
  2. 札幌
  3. 盛岡
  4. 仙台
  5. つくば
  6. 東京
  7. 鹿児島
  8. 那覇

桧家住宅の断熱性能(UA値)まとめ

桧家住宅
 断熱性能【UA値】
 未公表(ブログ公開数値0.7)

桧家住宅で建築をした方のブログを覗いた結果、UA値が0.7で長期優良住宅の認定を取得していることが分かります。

上記、省エネルギー基準の表でみると、4地域以南の温暖地域の断熱性能はクリアしていますが、その性能は2020年に義務化される住宅として最低限度のレベルになります。

また、国の進めている「ZEH住宅」の実績も2017年度は0%、公式ホームページで数値を謳っていないことから、高気密・高断熱住宅というワードはパフォーマンスと取られてしまっても仕方がありません。

それでも順調な販売実績を出しているのは、ワクワクする標準仕様やオプションを低価格で提供している部分があるからかもしれません。

例えば、屋根裏部屋が標準仕様であったり、青空リビングと名の付く「屋上」・アクティブガレージという一体型ガレージなど心躍る仕様が大手の1/4程度の料金で採用が出来るからです。

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