日本の省エネ基準!今までとこれから!義務化に必要な断熱仕様!

日本の家は耐震性に優れていて安心できる!

これだけを信じていると間違いを起こすことがあります。

特に日本の住宅市場は諸外国からすると大変遅れを取っています

2020年の省エネ義務化をにらみ、各ハウスメーカーが省エネ住宅の開発に力を入れ始めています。

しかし、コストの問題から「価格重視のハウスメーカー」は住宅の省エネ性能に無関心でした。しかし省エネ義務化が決まった今、省エネルギー技術に消極的だったハウスメーカーもこれを機に力を入れざるを得なくなるでしょう。

各ハウスメーカーの断熱性能(省エネ)ランキングはこちら

2020年の省エネ義務化基準はどれくらい?

日本の省エネルギー基準遍歴

  • 昭和55年ー旧省エネルギー基準
  • 平成4年ー新省エネルギー基準
  • 平成11年ー次世代省エネルギー基準
  • 平成25年(2013年)ー改正省エネルギー基準

 

  • 義務化の年(2020年)改正省エネルギー基準相当
  • 義務化されてからの進み方(2030年)今から12年後には、新築の平均で約半分がZEH基準を達成する目標を設定しています。
  • その先(2050年)今から33年後には戸建て住宅のほとんどがZEH基準を上回っていることが予想できます。

 

※ZEH基準とは、H25年改正省エネルギー基準よりも厳しい省エネルギー基準です。現在ZEH住宅を建築する方に国の予算から補助金が出されています

補助金の出るZEHビルダーの会社から資料を取り寄せる

日本の省エネ基準は、昭和55年から徐々に上がってきました。しかし、強制力(義務)がないことから「省エネ性能」を無視した安価にできる住宅が多くストックされています。

2008年に開催された、G8 洞爺湖サミットでの日本の立ち位置は、ホスト国でありながら住宅の性能面で諸外国から大幅に低く、散々な状況を明らかにしました。

省エネルギー基準の今までとこれから

下記表は、日本の今までの省エネルギー基準と、2020年を境にした今後の基準、目標値です。

2018年現在の省エネルギー基準は、努力目標であり平成25年基準です。

2020年には省エネルギー基準が義務化されますので、基準よりも低い建築物は許可が下りなくなるでしょう。

問題になるのが、義務化前に建築した基準値以下の住宅

現在建築する住宅も義務化はしていないとはいえ、義務化後には基準に満たない住宅として資産価値・評価が下がる家となり、その数は半分以上出てくることがわかっています。

以前も類似した法改正がありました。

1981年の耐震基準です。

1981年を境に、耐震基準が強化され明確に分かれたため、資産価値に大きな差が生まれました。

新耐震基準で建築した家と旧耐震基準で建築した家では、のちの買い取り価格等に違いがでたのです。

 

今回の2020年省エネ義務化は快適な住宅を提供する側の「業者」や買う側の「消費者」にとっても大きな意味があると思います。

断熱基準

基準単位 地域区分
平成4年基準相当 Ua値 0.54 0.54 1.04 1.25 1.54 1.54 1.81
Q値 1.8 1.8 2.7 3.1 3.6 3.6 3.6
平成25年基準相当 Ua値 0.46 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87 0.87
Q値 1.6 1.6 1.9 2.4 2.7 2.7 2.7
ZEH基準 Ua値  0.4 0.5   0.6
HEAT20 G1 最終 Ua値 0.34 0.34 0.38 0.46 0.48 0.56 0.56  ー
Q値 1.3 1.3 1.4 1.6 1.6 1.9 1.9
HEAT20 G2 最終 Ua値 0.28 0.28 0.28 0.34 0.34 0.46 0.46
Q値 1.15 1.15 1.15 1.3 1.3 1.6 1.6
地域 旭川 札幌 盛岡 仙台 つくば 東京 鹿児島 沖縄
  • 2018年現在、基準は平成25年基準
  • 2020年には、平成25年基準相当が義務化されます
  • 2030年には、ZEH基準を上回る住宅が半数以上の目標
  • それ以降はさらに性能の強化をはかります(HEAT20など)

 

基準ごとの断熱仕様の比較

 

下記表は今までの基準をもとに、どのくらいの断熱材を使用すれば基準を達成するのかの目安です。

これからメーカーを決めようとしている方や住宅の仕様を決めようとしている方は下記の断熱仕様基準を判断材料にしてください。

また、ハウスメーカーは断熱仕様に関して標準仕様を決めているところがほとんどです。

また、ご自分で断熱性能を決めたいという方も下記基準を参考にコストと天秤にかけながら検討するといいでしょう。

その場合は、ハウスメーカーよりも工務店など、仕様の融通が利く建築屋さんが合うと思います。

項目 無断熱 昭和55年基準 平成4年基準 平成11年基準
性能基準 熱損失係数 5.2W/(㎡/k)以下 4.2W/(㎡/k)以下 2.7W/(㎡/k)以下
仕様基準 断熱材(外壁) なし グラスウール30㎜ グラスウール55㎜ グラスウール100㎜
断熱材(天井) なし グラスウール40㎜ グラスウール85㎜ グラスウール180㎜
開口部(窓) アルミサッシ+単板 アルミサッシ+単板 アルミサッシ+単板 アルミサッシ+複層ガラス

※一定の仮定をおいて、国土交通省において試算(Ⅳ地域) 出典:低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議資料より

新基準 H25年相当の断熱性能を発揮するには!

2020年省エネ基準義務化以降の最低基準の目安

H25年基準相当 天井(断熱材) 壁(断熱材) 床(断熱材) 窓(開口部)
仕様基準 高性能グラスウール 高性能グラスウール 高性能グラスウール アルミサッシペアガラス
16k 155㎜ 16k 85㎜ 24k 80㎜ 熱貫流率 2.33以下

基準を左右する断熱材 グラスウールの熱伝導率

分類 断熱材 密度 熱伝導率 W/(m・k)
無機質繊維系断熱材 住宅用グラスウール 10k 0.050
16k 0.045
24k 0.038
32k 0.036
高性能グラスウール 16k 0.038
24k 0.036

新省エネルギー基準よりも上の住宅断熱性能を目指す場合は、さらに高性能な断熱材や高性能サッシを採用するようになります。

樹脂サッシトリプルガラスクリプトンガス充填仕様など

改正省エネルギー基準よりも高い基準

 

  • 改正省エネルギー基準(H25年)← 2020年義務化される基準
  • ZEH基準      ↓
  • HEAT20 G1基準   ↓
  • HEAT20 G2基準   ↓  より高い基準

下に行くほど、高い基準(高断熱な基準)となります。

■ZEH(ゼッチ

ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、省エネと創エネで1次エネルギー消費量をゼロ以下にしようとする基準。使うエネルギーをできるだ少なくして再生可能エネルギーで相殺する仕組み。

2018年現在、ZEH住宅を建築する方を対象に、国は補助金の予算を取っています。

ZEH住宅を建築し、補助金をもらうには「ZEHビルダー」の登録をしている会社で建築する必要があります。

■HEAT20 

HEAT20とは、長期的視点に立ち、住宅における更なる省エネルギー化をはかるため、断熱などの建築的対応技術に着目し、住宅の熱的シェルターの高性能化と住居者の健康持と快適性向上のための先進的技術開発、評価手法、そして断熱化された住宅の普及啓蒙を目的とした団体の呼称です。

参考記事グラスウール断熱材で、改正省エネルギー基準を達成するには「天井・壁・床」にどのくらいの厚みで施工すれば良いのかについて、改正省エネ基準【H25】をクリアする断熱材はこの厚みが必要!で紹介しています。

また、グラスウール以外の断熱材については、グラスウール以外の断熱材と建築材料の熱伝導率!に記載しました。

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